推薦入試について
推薦入試の応募倍率は2.55倍(前年度2.61倍)でした。前年度は、普通科に推薦入試が導入されたH7年度以降最も低い倍率でしたが、今春はそれよりさらに低い過去最低の倍率です。普通科では,男子2.64倍(同2.60倍),女子3.34倍(同3.28倍)と若干アップしたものの,単位制普通科は2.77倍(同2.77倍)で前年度と同じ,コース制は1.59倍(同2.06倍)と大幅にダウンし、それぞれ異なる動きになりました。 専門学科は,商業科1.69倍(同1.67倍)でほぼ前年度並み,工業科1.39倍(同1.68倍)と科学技術科1.52倍(同1.62倍)はダウンしましたが,これは推薦枠を拡大したためで応募者は増えています。一方,農業科1.95倍(同2.49倍),家庭科2.68倍(同3.39倍),芸術科5.10倍(同5.65倍)など女子の応募者が多い学科の倍率ダウンが目立ち,女子が普通科にシフトしたような動きもみられました。
定員割れとなった学校・学科・コースは前年度の8校9学科から14校23学科へと大幅に増加しており、推薦入試離れがますます進行していることが分かります。
一般入試について
全日制全体の最終応募倍率は前年度と同じで1.40倍、これは今の入試制度になったH6年度以降最低の倍率です。普通科男子は1.49倍(前年度1.50倍),女子1.53倍(同1.50倍)となっており、普通科に関しては前年度とほぼ同じ状況ですが、コース制0.99倍(同1.39倍),単位制普通科1.34倍(同1.40倍)などは減少傾向です。
また、商業科は1.01倍(同0.99倍),工業科は0.96倍(同0.95倍)となり、近年の専門学科離れの傾向は変わっていないようです。実際、商業科では9校中5校で2次募集を実施し、それでも4校は再び定員割れ、工業科も16校中10校で2次募集し、そのうち8校で定員割れという状況です。
普通科の倍率はあまり変わっていないにも関わらず、普通科以外の応募者が減っているということは、その減少分はそのまま私立高校へとシフトしたものと思われます。前年度も同様でしたが、私立高校の授業料に対する助成金の拡充や、大学入試改革への不安などから、私立高校(大学附属校を含む)進学を希望する人は今後も増えるのではないかと考えられます。
近隣の高校の状況
①推薦入試日比谷、戸山、青山など難関校では、男子の倍率が下がっているのに対して、それよりも倍率の高い女子の方が維持または上昇するという結果になりました。男子の高学力層は私立難関校を挑戦する生徒が多かったのかもしれません。というのも、この3校の男子の一般試験の倍率が、前年と比べてさほど下がってはいないからです。推薦試験は合格したら入学しなくてはいけないため、受検しない人が多かったのでしょう。
旧6学区の小松川、城東をはじめ、ほぼ全ての学校で、男女とも倍率が下がっており、推薦離れが進んでいる都立高校全体の傾向と一致しています。
②一般入試
旧6学区は前年度、応募倍率が1.53倍で都内で唯一1.5倍を超える最激戦区になりましたが、今春の入試では前年度に比べて極端な高倍率や低倍率が減り、全体的に平均化された印象があります。
その中で、城東は新校舎の完成ということもあって、激戦だった前年度をさらに上回る厳しい入試になりました。また、上野も高倍率になっています。進学アドバンス校の指定を受けており、難関大学への進学実績を伸ばすことに力を入れている点が支持されているのでしょう。江北はここ数年続いた倍率アップが一息ついた形です。とはいえ、新校舎になったばかりで、進学指導にも定評のある人気校であることには変わりありません。一方、葛飾野は男女とも倍率が下がりました。特に女子は定員割れで、その不足分を男子で埋めたことで、結果的には男女ともに全員合格という事態になりました。